(財)不動産流通近代化センター
教育事業部 次長 古川幸稔
不動産コンサルティング技能登録者
(社)不動産証券化協会認定マスター
1.不動産コンサルティング技能登録者の位置付け
不動産コンサルティング(以下「コンサル」と略称)の技能登録者は、宅建主任者等の有資格者で一定年数の実務経験を有する者が、不動産に関する更に幅広い知識を有すると認められて登録を受けた方々であり、依頼者に有効な情報やアドバイスを与え、業務をより的確に遂行することができる「不動産のプロ」といえる。それゆえ、不動産特定共同事業法の業務管理者や、不動産投資顧問業登録の申請者等に関する人的要件(能力・知識要件)と位置付けられている
2.コンサル技能の活用
(1)コンサル業務というと、大きなプロジェクトの企画提案などを想像しがちかも知れないが、不動産の売買・賃貸仲介や管理などの日常扱っている業務の延長線上にも、商売のネタやヒントがあるといえる。
不動産売買や賃貸借の当事者は、様々な事情や背景・理由があって依頼にみえるわけであり、それらを相談の中で上手に受け止め、把握することがきれば、単純な仲介や管理だけでなく、独立した別の業務としてアドバイスを行なうチャンスが期待できる。例えば、相談理由が相続による遺産分割などで、複数の不動産を保有している場合には、前段階として物件調査等を通じ、どれを売却・有効活用するかという仕分け・選定を行うことや、賃貸の客付け依頼で、その物件に空室が多い場合に、物件や契約条件の問題・その解決策を調査し提案することなどが考えられる。
(2)コンサル技能の活用対象は、不動産売買や賃貸借の当事者などだけとは限らない。コンサルに関連する業務経験や知識の研按を積めば、専門分野を持つ技能登録者が共同でコンサル業務を受託したり、経験の浅い宅建業者に対して指導・教育したりすることで顧問料として報酬を受領するケースも考えられる。
(3)また、コンサル報酬の受領には至らなくても、コンサル
技能を活用することで、不動産売買・賃貸仲介や管理など日常の業務に幅を持たせ、高度化を図ることが可能となる。私の拙い業務経験でも、土地の売主に税制の優遇措置を提案し、税理士の力も借り、競合仲介業者に勝って仲介成約となったこともある。
3.コンサル技能登録者の活用
不動産を取り巻く社会経済環境は、少子高齢化の進展など日々変貌しており、不動産業もますます「ソリューション・ビジネス」としての役割を求められることとなる。不動産業の経営者の視点でいえば、このような時代の変化や社会的要請に対応するため、コンサル技能登録者を会社に配置して活用することが、他社との差別化を図る一方策といえる。
4.終わりに
当センターでもPRに努めるが、コンサル業務の普及や技能登録制度の認知度向上のためには、個々の技能登録者の研錆や実践が不可欠であり、当センターは今後もそのための支援を進めて行きたいと考えている。皆さん一人ひとりのご活躍を心より祈念する次第である。
平成22年1月14日・15日に、沖縄県不動産会館で(財)不動産流通近代化センターが、宅地建物取引主任者資格登録に係る「登録実務講習」を実施し、52名が熱心に受講した。本協議会は講師3名を推薦し、講習会の運営・講義を行った。
○不動産コンサルティング制度シンボルマークは、ReaI Estate(不動産)のRとConsuIting(コンサルティング)のCを組み合わせたラインを配したデザインで、平成17年12月に制定されました。
〔「商業コンサルティングの実務」講師:島村美由紀氏(株式会社ラスアソシエイツ代表取締役・商業コンサルタント〕
①商業のおかれている状況②近年のニーズ動向③商業施設開発成功のポイント④注目商業施設例⑤成熟市場に対応する商業開発戦略についての説明があった。
③の商業施設開発成功のポイントについては、(1)明解なコンセプト(2)MD(マーチャンダイジング、業種業態、商品構成)力(3)空間力(4)規模力がポイントであると言及した。
日本経済も世界的な同時不況・停滞の渦に巻き込まれる状況にあり、不動産市況もあっという間に、再び荒波の中に引き戻される厳しい状態となってしまった。しかし、このような時代においてこそ、一人ひとりが知識やスキルをさらに身に付け、市場の回復・再発展の途を捉ることが求められている。
研修会を通しての更なるスキルアップが期待される。
〔「沖縄県内における住宅着工の現状と今後の展望」講師:山田一夫氏(沖縄振興開発金融公庫事業管理部業務第一班・課長)〕
最近の沖縄県の住宅事情、賃貸住宅の空家状況、新築建築物の用途、沖縄県の人口・世帯数の推移、不動産業への金融機関の融資状況についての説明があり、不動産コンサルティング業界についての提言があった。
平成21年11月30日、沖縄県不動産会館で本会は第13回不動産コンサルティング実務研修会を開催した。徳嶺春樹会長は「不動産業界も厳しい時期であるが、今後は不動産コンサルティング業務も取り入れ差別化を図るべきである」と主催者挨拶をした。